大物になっても、若手のような体当たり仕事をしっかりこなす今田耕司に、後輩やスタッフなどからリスペクトの声があがっているというわけだ。彼のMC力について、前出のスタッフは、こう分析する。

「今田さんはその場の瞬発力があるので、どんな流れでも必ず笑いでシメきることができますよね。トーク番組をちゃんといい具合に面白い話にして着地させられる。きっとこれまで、ダウンタウンの松本さんや島田紳助さん、ビートたけしさんら様々な先輩たちの下で揉まれ、可愛がられてきたなかで培われたのでしょう」

■ダウンタウンから受けた英才教育

 お笑い評論家のラリー遠田氏は、ダウンタウンの影響が大きいと分析する。

「デビューしてからしばらくは『4時ですよ~だ』『ダウンタウンのごっつええ感じ』などダウンタウンの番組を中心に活動していました。そこでは実質的に彼らに次ぐナンバー2のポジションとして仕切り役を務めることもありました。この時期にダウンタウンの2人からの“英才教育”を受けて、芸人としての腕を磨いていたのだと思います」

さらに今田は若手の親交も深く、面倒見がよいことでも有名だ。後輩から新しいお笑いスキルを吸収しているのかもしれない。

「今田さんは基本的に、自分も脱線していきたい人なので、実は司会進行が特別うまいわけではないのです。ただ、普段から大御所であろうと若手であろうと、相手を選ばずにうまく対応する技術に長けているんです。特にスポットライトが当たっていない芸能人を見つけて、なんとかチャンスを渡そうとする。そういう姿を見れば、だれでも現場で結果を残そうとがんばりますよね。そのおかげで、番組が面白くなることもあるので、後輩からも慕われるのです。ナインティナインの岡村さんなどは今田さんのことをかなりリスペクトしているようです」(お笑い事務所関係者)
 
 前出のラリー遠田氏は、今田が人気を博す理由をこう分析する。

「芸人として歩んできた道のりは東野幸治さんと似ていて、比較されることも多いのですが、東野さんは最近では報道系の番組を仕切ることもあるという点が異なります。今田さんは幅広いジャンルに対応できる能力がありますが、やはりネタ番組などお笑い色の強い番組で真価を発揮するタイプです。最近では『ザ・ベストワン』というネタ番組でMCを務めていましたし、『M-1グランプリ』で緊張感を保ちながらも随所で笑いを起こす司会ぶりは見事です。大規模なお笑い番組を安心して任せられるという意味では、唯一無二の存在だと思います」

 大御所と若手、両方からの信頼が厚い今田耕司。お笑い界で独特の地位を築いているようだ。(今市新之助)