――秋山さんの音楽はロックと称されることが多い印象ですが、ご自身のジャンルって何だと思いますか?

 僕はJ-POPなんですかね? 自分ではそこまでジャンルって意識していません。

 ロックってことでもないし、ロックっていわれるであろう曲はありますけど、ヒップホップの時もあるし。ジャンルって、たぶん曲ごとだと思うんです。ロックな奴ってロックしか作らないからロックって棚に置かれるだけ。ヒップホップもR&Bの人もそう。

 これからは僕みたいにジャンルがバラバラなアーティストって今後いっぱい出てくると思うから、そういう棚を用意してほしいですね。

――これまでの活動で最も印象に残っている出来事はなんですか?

 メジャー・デビュー前に渋谷の「TSUTAYA O-Crest」でやった自主企画ライブですね。あの感覚は今でも鮮明に思い出せます。想像していたよりもすごい多くのお客さんがきてくれたんです。自分の曲をもうすでにお客さんが知っているっていう光景って、いざ目の当たりにすると、現実味がないというか、けっこうすごいなって。

 それ以前にもライブ活動はしていましたけど、一つ前のライブは3人しか人いなかったし。その反動も影響しているのかもしれません。とにかく衝撃でした。その後も、規模の大きいライブには何度か出させてもらいましたけど、あのライブは忘れられません。

――最後に、今後の目標を教えてください。

 どうありたいかっていうのは特にないですね。最近、僕はよく思うんですけど、音楽さえあればもう何もいらないんです。仕事って「お金」がテーマだったりもすると思うんですけど、僕は音楽が目的であってお金は手段に過ぎない。でも仕事って音楽が手段でお金が目的になるでしょ? 僕は、よく分からない偉人のおっさんが印刷されたものに、そこまで興味はないです。最低限は欲しいけど(笑) 僕は音楽で終わりでいいんです。

 そもそも、僕は音楽を仕事と思ったことはありません。他のメディアでも自分を「自称・無職」って語っていたりもするんですが、あれは「音楽を仕事と思っていないから僕は無職みたいなものだよ」っていう意味なんですね。これ、けっこうよく勘違いされてて困ります(笑)。他人からしたら、アーティストだし、作曲家だし、バンドマンだったりもしますけど、仕事っていう意識ではない。もちろん曲を作るうえでの精神的な負担はありますけど、仕事っていうレベルには達していないんですよ。要するに僕はかっこつけて「自称・無職」って言ってるんだよっていうのをわかってほしい(笑)。アーティストなんて、みんな無職であるべきってことなんですよ。

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)