人事担当が面接で重視するのは「声」だった――。『繊細すぎる人のための自分を守る声の出し方』の著書で、メンタルボイストレーナーの司拓也さんに、面接官に選ばれる「声」についてご寄稿いただいた。

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 私のスクールには人事部の担当者も数多く来られます。人事担当者として学生相手の面接に臨む際、会社の代表として、あがらず堂々と、余裕のある話し方をしたいというのが目的でいらっしゃる方が多いのです。

 こうして来られた人事担当の方々に、面接で学生さんを選ぶ際、どんな点に着目しているか、重視しているかを聞いてみると、「声」と答えられる方がとても多いのが印象的でした。

 これはいい声を出しているから採用するということではありません。

 大企業ともなると、同じ面接官が何千人と面接をしていくこともあります。ほとんどの学生さんは、就活面接のマニュアルで対策をし、話す内容を十分推敲して準備してくるので、皆、同じことを話しているように感じられてくることがあるそうです。個性があまり感じられず、甲乙がなかなかつけられない。そんな中で、最終的に決め手となるのは「声にウソがない人」だと言うのです。

 ベテランの面接官になると、声の調子(音量、スピード、高低、間)や声色から、その人の自信、やる気、誠実さが透けて見え、話す内容と、声の調子に不一致があると、一瞬で違和感を察知できるようになるのだそうです。

 これは面接に限った話ではありません。実生活でも同じことが言えます。人は、あなたと話をするとき、あなたの話を聞くときに、話の内容や言葉だけでなく、声であなたが信頼できるかどうかを判断しているのです。

 当然、声も人柄や感情を反映するものなのですが、人柄や感情をうまく声に乗せられずに損してしまっている人が少なくありません。私もそうなのですが、特に、他人の反応を気にしすぎてしまう人、緊張が高い人にこの傾向があります。

 一般的に「信頼される声」とされる声の人は、「喉を開いて」話しています。これが最も大切なことなのです。緊張したり、隠し事をしたりすると、喉は閉まり、上ずった声になります。喉を開けるようになると、音量も上がり、通る声になります。そして、頭蓋骨に響く自信のある声で話せるようになります。

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