Q:手術翌日からリハビリを始めるのは早すぎない?

A:肺炎など術後の合併症を予防し、早期の回復を目指すため

 早期にリハビリを始めるのは、術後の合併症を減らし、早期の回復を目指すため。特に高齢者は寝たきり状態が長くなるほど、合併症を起こしやすく、回復が遅れてしまうことになる。

 術後の合併症として起こりやすいのが、肺炎や無気肺(痰などで気管支がふさがれ、肺の一部に空気が入らなくなる)など、呼吸器のトラブルによるもの。術後早くからからだを動かすことは、こうした呼吸器の合併症を予防することにつながる。

 また、消化器の合併症が起きることもある。

「術後は消化管の動きが悪くなり、腸閉塞のリスクが高くなりますが、早くからからだを動かすと、消化管の動きが明らかに違います」(福長医師)

 高齢者の場合、寝たきりでいると一日ごとに筋力が低下したり、関節の動きが悪くなったりする。このため理学療法士が、年齢や体力、術後の回復に合わせた指導をしていく。

 ただし、あくまで無理のない範囲で医師の指導のもと実施することが大切だ。

Q:手術中に停電したらどうなる?

A:自家発電装置が設置されているため手術継続が可能

 手術中は全身麻酔だと意識がなく、局所麻酔でも自由にからだを動かせない。このため、万が一、手術中に災害や停電が起きたら、と考えると不安に感じるだろう。

 ほとんどの施設では、自家発電装置が設置され、停電時には瞬時に装置が使用できるようになる。非常室内灯も作動するため、ほかの被害がない限り、手術を継続することは可能だ。

 被害がある場合は状況によって手術を継続するか、中断するかを判断する。

 各施設では防災マニュアルに基づき、定期的に防災訓練を実施している。

Q:大学病院で手術を受けると学生に見学される?

A:教育機関でもあるため研修医が見学、手術に参加することもある

 大学病院は高度な医療を提供している総合病院であると同時に、教育や研修を行う機関でもある。このため、臨床研修医が手術を見学したり、手術に参加したりすることは珍しいことではない。一般的に入院時などに渡される書類に、こうしたことに理解を得るための文面が入っている場合が多い。

 大学病院にかかる場合は、こうしたことを理解したうえで受診したい。

 また、大学病院ではなくても、国内外のほかの施設から、医師の手術見学を受けつけている病院もある。(文/中寺暁子)

≪答えてくれた医師≫
がん研有明病院 副院長・麻酔科部長 横田美幸 医師
がん研有明病院 消化器センター長 福長洋介 医師

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より