(イラスト/山中正大)
(イラスト/山中正大)

 手術を受けるにあたっては、誰もが不安を感じるはず。「手術が予定より長引くのは、問題があったから?」「手術中に停電したらどうなる?」好評発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、そんな手術に関する疑問について、がん研有明病院の2人の医師に回答してもらっている。ここではその一部を紹介する。

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Q:手術が予定より長引くのは、問題があったから?

A:問題が起きた場合とそうではない場合がある

 手術の予定時間は、事前に家族に伝えられる。このため、予定の時間より長引くと「何か問題が起きたんじゃないか」と不安になる人も多いだろう。がん研有明病院消化器センター長の福長洋介医師はこう答える。

「問題があった場合に考えられるのが、出血。特に肝臓や膵臓などの手術や大腸がんでがんが大きい場合などは、周囲の血管を傷つけやすく、出血のリスクが高くなり、止血処置のために手術が長引くことがあります。ただし、そのような場合は事前にある程度予測できるので、その可能性も含めて家族にお伝えすることが多いと思います」

 問題はなくても手術時間が長引くケースもある。臓器や組織が癒着しているような場合だ。癒着をはがす作業に時間がかかり、手術時間が長引きやすい。

「過去に手術を受けていると、癒着があることが予想できますが、たまに手術を受けたことがないのに癒着がある人もいます。その場合は事前に予測しにくいので、予定よりも手術時間が長引くことになります」(福長医師)

Q:家族が手術の途中経過を知る方法はある?

A:長引いている場合はスタッフに聞けば確認してもらえる

 手術が終わるのを待っている家族にとっては、手術が順調に進んでいるかどうか、気が気でないだろう。手術が長引いている場合などは、看護師などのスタッフに聞いて、手術室に確認をとってもらい途中経過を教えてもらうことができる。

 ただし、予定終了時間より前に聞くのは、医師ら手術に関わるスタッフの集中を妨げたり、作業を増やすことになったりするので、遠慮したい。

 手術が大幅に長引いている場合やもともと長時間に及ぶ大きな手術などは、医師が途中経過を説明に来てくれる場合もある。

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手術の次の日からリハビリ…早すぎない?