「腹腔鏡などの内視鏡手術に用いる医療機器の管理も担います。医療の進歩に伴い、役割が大きくなってきている職種です」

 新しい機器が導入される際などは、医療機器メーカーの担当者が立ち会うこともあるという。

 外科医は執刀医のほか、1~2人の助手が執刀医をサポートし、協力して手術をおこなう。看護師は外科医に手術器具を渡す「器械出し看護師」と手術器具の管理をしたり、麻酔科医のサポートをしたりする「外回り看護師」がいる。麻酔科医は基本的に1人で一つの手術を担当する。

 手術が終了すると、清掃業者が室内の清掃や手術器具の洗浄をおこなう。

Q:がんの場合、なぜ手術中に病理診断をする?

A:適切な切除範囲を決め、それでいてとり残しがないようにするため

 患者のからだから採取した細胞や組織を顕微鏡で観察し、腫瘍が悪性か良性か確認し、悪性であれば、性質や病期などを診る病理診断。一般的には、手術前の細胞診や、生検で採取した組織や術後に切除された組織で診断するが、手術中に切除した組織を病理診断することがあり、「術中迅速病理診断」と呼ばれる。

 術後の合併症など、からだへの負担を考えると、切除範囲はできるだけ小さくとどめたい。しかし、がんのとり残しがあってはいけない。そんなときに、術中迅速病理診断を実施する。病理医が手術中に切除された組織から切除断端(断面)にがん細胞が残っていないかどうかを調べる。がん細胞が残っていた場合は、切除範囲を広げる。術中迅速病理診断にかかる時間は、10~30分程度だ。病理医が常勤していないと難しいが、最近は「遠隔病理診断システム」もある。

 一般的には、肉眼ではがん細胞が広がっている範囲がわからない場合に実施されるのだが、ほぼ全例で実施している病院もある。

「病理医の数が十分にいなければ難しいと思いますが、当院では、術後に患者さんに迅速に説明するためにも、ほぼ全例で実施しています」(福長医師)


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