(イラスト/山中正大)
(イラスト/山中正大)

 手術を受けるにあたっては、誰もが不安を感じるはず。「医療ドラマのように、手術中に執刀医が交代することはある?」「局所麻酔と全身麻酔、どう違う?」好評発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、そんな手術に関する疑問について、がん研有明病院の2人の医師に回答してもらっている。ここではその一部を紹介する。

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Q:局所麻酔と全身麻酔、どう違う?

A:局所麻酔は意識があり、全身麻酔は意識がないことが大きな違い

 大きな違いは、意識があるか、ないか。一般的に小規模の手術や、へそから下である下半身の手術は、局所麻酔(区域麻酔)が選択されることが多く、胸部や腹部、脊椎、顔面、脳の手術は全身麻酔が選択される。子どもの場合は、手術の種類に関わらず、全身麻酔が選択されることが多い。局所麻酔の種類には、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、末梢神経ブロックなどがある。

 がん研有明病院麻酔科部長の横田美幸医師はこう話す。

「手術を受ける患者さんにとって大切なのは、まず安全性、次に快適性です。区域麻酔でできる場合でも、手術機器の音が怖いといった不安がある人は、全身麻酔を選択することもできます。局所麻酔でも希望すれば、鎮静薬や麻酔薬によって意識のない状態にもできます」

 術後の痛みに不安を感じる人も多いだろう。

 「近年は全身麻酔と区域麻酔の一つ、硬膜外麻酔を併用することで、術後の痛みを訴える人が減っています」(横田医師)

 ただし血液を固まりにくくする薬を服用している場合、硬膜外麻酔は使用できない。その場合は神経ブロックや鎮痛薬を使用する。

Q:手術室にはどんな職種の人が何人いる?

A:患者1人を外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士など6~8人が担当

 外科医、麻酔科医、看護師はよく知られているが、そのほか手術室にいるのが国家資格をもつ医療技術者「臨床工学技士」だ。医療機器の専門家として、人工呼吸器や体外循環装置、人工透析装置、麻酔器などを操作、管理する役割がある。がん研有明病院消化器センター長の福長洋介医師はこう話す。

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