一方、“新入学CM”には、成長や出会いといった明るく楽しいイメージが強い。真っ先に思い出されるのは「♪ピッカピカの 一年生」のフレーズで知られる小学館の児童学習誌『小学一年生』ではないだろうか。初代CMを手掛けたのは杉山恒太郎氏。

 杉山氏はセブン-イレブン「♪セブンイレブン いい気分」、サントリーローヤル「ランボー」など人々の記憶に残るヒットCMを数多く手掛けた、日本を代表するクリエイティブディレクターだ。CMは全国津々浦々の新一年生が入学への思いなどをカメラに向かって語るというもの。自然な表情や伸び伸びと天真爛漫に振る舞う様子をそのまま切り取った名シリーズだ。1978年から十数年にわたり放送されたこの人気CMが、昨年末に約25年ぶりの復活を果たした。電通の棚橋芳雄氏、明円卓氏らが手掛けたもので、令和最初の“小学一年生”を応援している。

 今回はテレビCMのみならずユーチューブやツイッター、インスタグラムの公式アカウントを活用し、撮影した100人以上の子どもたち全員分の動画をほぼ毎日公開していくという。真新しいランドセルを背負って「違う学校になっても仲よくしてくれる?」「もっちろん!」「チュウ!チュウ!ナイストゥミーチュウ!」と踊りだす女の子コンビや、「テストで100560万(ひゃくごひゃくろくじゅうまん)点取りたいです!」と意気込む男の子など、入学を楽しみにしている無邪気な様子に自然と顔がほころんでしまう。

 今回のような突然の休校といった事態に直面すると、子を持つ親にとっては平日の預け先やカリキュラムの未消化など、即座に想像しやすい心配ごとや課題が降りかかる。収束が見えず、自粛続きで不安にとらわれてしまうのもやむを得ないだろう。そうした中でも“ピッカピカ”の笑顔でまっすぐに入学の喜びを表現する新一年生の“生の声”を目にすると、やはり胸が熱くなる。われわれ大人が力を合わせ、一日も早く事態が収束して新生活を元気に迎えられる日が来ることを願うばかりだ。