前出のコネヒトでは「人に見られている方が集中できる」という声を受けて、一定の間隔で写真を撮って共有するツールを使っている。孤独な作業になりがちな中で、画面に人気(ひとけ)が出るほか、離席や休憩中などの様子がわかるというメリットもある。あえて動画でつなぐのではなく、画像にすることで「ゆるい繋がり」だということもポイントだ。

「個人的には、起床時間や朝のシャワーなど、会社に行くときと変わらない行動をするようにしています」(安達さん)

 新型コロナウイルスによる事態の収束が見えない今、リモートワークの導入はさらに拡大し、臨時導入している企業でも対象者を増やしたり期間の延長も考えたりするケースもあるだろう。中川さんによると、多くの企業で最後まで課題として残るのは、法務や経理、人事系の「紙を基本にした仕事」だという。また、営業職で得意先に「来い」と言われ応じてしまうケースや、アイデア出しなどのクリエイティブな仕事が難しいとされ、緊急導入の後はそこにも手を付けたい。

「経理など紙ベースの仕事を電子化するためのツールの導入や移行のための投資も今後は必要になります。クリエイティブな仕事にはホワイトボードツールがオススメです。また、『足で稼ぐ』『Face to Faceが大事』と言わる営業職では、実は現場の従業員はオンライン商談でも構わないと考えているのに対し、上司がそれを許さないケースが多い。企業の多くは前年度比で目標値を立てているため、不確定な要素をなるべく排除したいと考えるからです。しかし、オンライン商談に移行しても全体の契約数は変わりません。1件あたりの契約数が下がったとしても、社員1人が対応できる顧客が増えています。私達もそういった情報を伝えていく努力が必要ですし、企業にとってはこの機会にやってみること、そして社会の人との接触方法についても会社のルールを定めることが必要だと思います」(中川さん)

 長期化が避けられないこの緊急事態をどれだけ生かせるのか。企業の対応が問われている。(AERA dot.編集部・金城珠代)