翌年以降も「VV(ブイブイ)」(12年)、「熱男(アツオ)」(15年)、「1ダホー!(ワンダホー)」(17年)、「もう1頂(もういっちょ)」(18年)、「奪Sh(ダッシュ)!」(19年)など遊び感覚に満ちた珍スローガンを次々に発表。そして、「ダ」の11年以降、昨季までの3年連続も含めて日本一の座につくこと計6回。ダサいスローガンも“勝てば官軍”という成功の法則を証明しつづけている。

 今季は、「S15」(サァイコー!)。「スピード」「最高」「ストロング」など、いろいろな意味の「S」を球団15周年に結びつけたものだが、本拠地の新名称もペイペイドームとあって、ダサさの二乗(?)で4年連続日本一を狙う。

 ダサいスローガンのパの覇者がソフトバンクなら、セの覇者は文句なしで広島だ。

 14年の「赤道直火」以降、「常昇魂」(15年)、「真赤激!」(16年)、「カ舞吼!(かぶく)」(17年)の当て字系で個性を打ち出していたが、18年の「℃℃℃(ドドドォー!!!)」で一気に突き抜けた。

 松田元オーナーがシャワーを浴びているときに閃いたアイデアで、「優勝に向かってドドドーッと向かっていく感じ」を記号で表現。「努力」「泥臭さ」「胴上げ」「同心」などの“℃つながり”に加え、カープの「C」が入っているのもミソだった。

 当初は「記号はわかりにくい」「破天荒過ぎ」の声も聞かれたが、シーズン開幕から4連勝と波に乗ると、文字どおり、ドドドーッと怒涛の勢いでリーグ3連覇を成し遂げた。

 翌19年も、この路線を継承した「水金地火木ドッテンカープ」。「太陽系の惑星の中にカープがいる」イメージだそうだが、残念ながら、「これコケてるやろ」のツッコミが的中し、V4どころか、4位に転落。「ドッテンと沈んだ」と鯉党をガッカリさせた。

 今季は史上初の回文を用いた「たった今 このAKAの子 舞いたった」。これまた「ネタになるダサさ」と話題を呼んでいるが、イメージどおり、舞い立つことができたら、来年以降、回文シリーズが定番化しそうだ。

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中日、阪神もツッコミどころが