さらに、免疫チェックポイント阻害薬は現在、転移があるがんや、ほかの治療法に効果がないがんに用いられているが、今後もう少し早い段階で使用することが承認されれば、膀胱全摘を回避できる可能性はさらに高くなると期待されている。

■セカンドオピニオンとるべきケース

 悪性度の高い、あるいは再発を繰り返す筋層非浸潤がんや、筋層浸潤がんで、膀胱全摘除を勧められたら、膀胱温存療法の適応になるか、セカンドオピニオンを受けるといいだろう。東京医科歯科大学病院の藤井靖久医師は次のように話す。

「全摘除と言われた人の3人に1人くらいは温存術の適応になるのではないかと思います。膀胱を摘除したくないという希望があれば、セカンドオピニオンで自分が膀胱温存療法の適応になるか、可能性の有無を確かめるといいでしょう」

 国立がん研究センター中央病院の松井喜之医師はこう話す。

「膀胱がんは再発しやすく、低リスクの筋層非浸潤がんが何度も再発するケースも珍しくありません。一般的にBCG膀胱注入後の3回目の再発治療で膀胱全摘除を考えますが、がんの状態やBCGの副作用の程度、自身の年齢、ライフスタイルなどを考慮して、膀胱全摘除に踏み切るタイミングについて、ほかの医師の意見を聞くのもいいでしょう」

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫

ケース
TUR-BT+BCG治療で再々発。膀胱全摘除に踏み切るか?

TUR-BT+BCG治療をおこなっても再発を繰り返す場合、もう少しTUR-BT+BCGでねばるか、それとも膀胱全摘除に踏み切るか、そのタイミングについてほかの医師の意見を聞く。

ケース
膀胱全摘除といわれたが、膀胱温存療法の可能性は?

膀胱全摘除を提案されても、がんが限局しているなどの条件を満たせば、膀胱温存療法の適応になるケースも。膀胱温存療法を実施している病院でセカンドオピニオンを受けよう。

■ランキングの読み方と病院選び

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』に掲載している手術数ランキングには、膀胱全摘除術(開腹、腹腔鏡、ロボット手術含む)と、TUR-BTの手術数を挙げている。TUR-BTは膀胱がんの診断に用いられるが、治療としては、筋層非浸潤がんに実施される。膀胱全摘除術は悪性度の高い、または再発を繰り返す筋層非浸潤がんと、筋層浸潤がんにおこなわれる。

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手術数の多い病院選びを。手術法はそれほどこだわる必要なし