また、父親が野球のナイター中継をラジオで聴いていたことの影響で、入山は幼少期から現在に至るまで大のラジオ好きだ。

「所ジョージさんの『進め!おもしろバホバホ隊』(84年10月~86年10月放送)に出演する『この人たちはヤバイな……』と思っていたのが『コサキン』のふたり、小堺一機さんと関根勤さんだったんです。それでコサキンのラジオを聴くようになりました」

 今でも関根勤のファンで、関根が座長を務める「カンコンキンシアター」を観に行き、テレビ番組で共演したキャイ~ンの天野ひろゆきの紹介で楽屋に挨拶に行ったこともある、と嬉しそうに語る。

■『AVANTI』へのオマージュ

 文化放送でパーソナリティを務めるに至るきっかけは、同局の朝の帯番組『The News Masters TOKYO』(2017年4月~2019年3月まで放送)に入山が週1回コメンテーターとして出演し、アニソンをかけて解説するコーナーを持つようになったことだった。

「文化放送がアニメやマンガに強いからということではなく、単純に僕が好きだったからです」

 そんな入山に「ビジネスを中心としたコミュニティを作りたい」という思惑を持った文化放送のプロデューサーが目を付け、白刃の矢が立った。

 実は入山が担当する『浜松町Innovation Culture Cafe』では、あるラジオ番組へのオマージュがある。

 TOKYO FMで1992年4月から2013年3月まで放送されていた『SUNTORY SATURDAY WAITING BAR AVANTI』だ。元麻布の仙台坂を登った屋敷町にウェイティングバー「AVANTI」があり、常連の大学教授とさまざまな業界の人間が繰り広げる日常会話に聞き耳を立てる……というコンセプトがこの番組にはあった。

 一方、この「『AVANTI』を聴きたい、ということがアメリカから日本に帰国しようと思った理由の1割を占める」と語る入山の番組はこうだ。元経営学者のマスターが営むカフェに常連の悩めるサラリーマンがやってきて、その道のプロであるゲストとの会話からヒントをもらう――という設定である。

「プロデューサーから番組企画を提案いただいたときに、ただゲストを呼んでトークするだけじゃダメだ、世界観が必要だ、と思ったんですね。そこで『AVANTI』のオマージュのような世界観の番組にしたい、と。ただ『文化放送ではカフェバーはおしゃれすぎる』ということで『カフェ』になりました(笑)」

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「知識欲を満たしたい」と「咀嚼して伝えたい」