「たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます」

 という魚の生態からイジメの本質を説き、解決策を提案する内容だ。

 ただ、個人的にいちばん感心した彼の活動は、07年にムーディ勝山と水族館でコラボした企画だったりする。透明なパイプでつながったふたつの水槽の前で、ムーディが「右から来たものを左へ受け流すの歌」を歌い出す。と、魚たちが右の水槽から左の水槽へ泳いで移動し始める、というものだ。さかなクンいわく「群れで明るい所に移動する習性」のあるデバスズメダイを使ったのだという。

 アカデミックな知識とバカバカしい笑いの融合。さかなクンにはぜひ、この唯一無二なスタイルを極め続けてもらいたい。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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