合成とか加工というのは、やればやるほど作品のつくり手のセンスの良しあしが画面に出てくるものなんです。だから、合成するのであれば、その点をしっかりと考えて、センスを磨いてやってほしい。合成する必然性が感じられ、緻密さも完成度も高くて、面白ければ、それはそれでいいと思うんですよ。そこはかなり重要で、それが認められなければ落とします。

「この合成写真は悪くないね」というケースもありますが、合成して写真がダメになるケースのほうが圧倒的に多いと思いますね。それはつくり手の未熟さによるものだと思います。

 だから合成しなくても十分、写真として面白いのに、お粗末な合成をして作品をこわしてしまう。「なんで、わざわざ、こんなことをしたのか」「やらなきゃよかったのに」って思いますし、悲しいですよ。そんな作品とは出合いたくない。

 よくあるのが、ただ別の画像から切り取って貼りつけただけの合成で、そういうのは、ちらっと見た瞬間に「光の方向が違う」。

 そもそも、写真というのは光と影でできていて、光がものすごく重要。それを考えないで合成しているのを見ると、「この人はふつうにストレートに撮ってもダメだろうな」と思いますね。

 写真は、光をどう見るか、どう表現するか、というところがいちばん重要。そこに始まり、そこで終わるというくらい大切なんです。

 レタッチについていうと、これもいろいろなソフトがあって、合成とは違った意味でかなり過剰な加工をした作品が増えてきました。写真をつくり変えちゃうというくらいになんでもドラマチックにしちゃう。

「ふつうの写真じゃダメなんだ」と思い込んで、過剰にレタッチしている人は多いです。「審査員の目にとまらなきゃいけない」という思いで派手にする。実際はそうではないんだけれど、それがコンテストの「傾向と対策」だと思っている。気持ち悪いような写真になっている人もいます。品がない、を通り越して、「ひどいな」「うんざり」ですよ。(聞き手・構成/アサヒカメラ編集部・米倉昭仁)

※『アサヒカメラ』2020年3月号より抜粋。本誌ではハナブサさんのインタビュー全文と他作品も掲載している。