4センチ未満のがんに適応される、細い針を体外から経皮的にがんに刺して凍結壊死させる凍結療法について、京都府立医科大学病院の浮村理医師は次のように話す。

「凍結療法は、適応を見極めれば、高齢で手術ができない症例や、手術よりも低侵襲を望む人にとって、手術に替わる有効な治療法です。ただ、技術的に難しく、特別な医療機器が必要なので、受けられる病院が現在でも限られているのが課題です」

■セカンドオピニオンとるべきケース

 腎全摘除を提案されたら、セカンドオピニオンを受けるといいだろう。がんが大きい、腎動脈や腎静脈などの太い血管の近くにある、腎臓の内部に入り込んでいるなどの場合は、腎全摘除術が標準治療となる。しかし手術数の多い病院では、部分切除が可能になるケースもある。

「全摘除の手術をすると、その後の人生で慢性腎臓病(CKD)が起きやすく、心疾患や脳血管障害のリスクも高くなることがわかっています。セカンドオピニオンで、部分切除の可能性を確認してください」(近藤医師)

 逆に、がんが小さいことなどを理由に経過観察を提案された場合にもセカンドオピニオンを受けてみよう。画像診断だけで判断するのは不安があるからだ。

「経過観察でも、細胞をとって調べる針生検や、半年~1年ごとの検査画像を経時的に比べるなどして、がんの進行や性質をきちんと調べてもらうことが重要です。また、経過観察と手術の中間的な選択肢として、凍結療法の適応になるケースもあります」(浮村医師)

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫

ケース
腎全摘除といわれたとき部分切除の可能性は?

がんが大きい・切除しにくい場所にあるなどで腎全摘除を勧められたときでも、手術数の多い病院では、部分切除が可能になるケースも。その可能性があるかを聞きたい。

ケース
進行がんで転移があり手術不可能といわれたとき

腎静脈やほかの臓器にがん細胞が浸潤していても、手術できる病院もある。手術だけで生存期間が4~5年以上というケースも。あきらめずにセカンドオピニオンを受ける。

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年間の手術数が30~40例が信頼度の目安のひとつ