外国人から「中国は危険すぎる場所」という認識が高まれば、助っ人の帰国はもちろんのこと、国内リーグ再開が暗礁に乗り上げ、国際試合も開催不可能になりかねない。3月の2022年カタールワールドカップアジア2次予選2連戦(26日のモルジブ戦と31日のグアム戦)に関しては、緊急避難的に中立地・タイのブリーラム開催が決まったが、代表活動は6月にもあるし、2次予選を勝ち上がれば秋から最終予選もスタートする。終息の道が見えないままでは何の準備もできないため、関係者は気が気でないはずだ。

「2003年のSARSの時も5~6月には収まったので、今回もそんなに長期化しないだろう」と中国サポーターやメディア関係者の間には楽観論もあるというが、本当に早期に決着はつくのか。不安は尽きない。

 一方、韓国は2月中旬からの感染者急増に伴い、29日に開幕予定だったKリーグを無期限延期にする措置を取った。すでに始まっているACLはホームゲームを無観客にする方針。集団感染者が出ている大邱からの入国を禁止する動きもあり、この地に本拠地を置く大邱FCは海外への行き来はおろか、韓国国内での移動も制限されるかもしれない。となれば、いつ通常運営に戻るかは全くの未知数だ。韓国もまた代表戦開催への影響が出ることも考えられる。

 リーグ再開日が設定されている日本は中韓両国よりは若干、ポジティブな状況と言っていいだろう。しかしながら、繰り返しになるが、本当に3月18日に再開できるとは限らない。感染拡大が止まらなければ、時期を後ろ倒しするしかなくなる可能性もある。

 となれば、3月末のインターナショナルデーに予定しているA代表のワールドカップ予選・ミャンマー戦(26日=豊田)と31日のモンゴル戦(ウランバートル)、U−23代表の南アフリカ戦(27日=京都)とコートジボワール戦(30日=福岡)も暗礁に乗り上げるだろう。4月以降に延期したACLの再開も見通しが立たなくなるし、最悪の場合は東京五輪開催断念という考えたくない事態も起こり得る。

 東アジアサッカー界に甚大な被害を及ぼしている新型コロナウイルス。目に見えない敵を克服するのは果たしていつなのか。今後の成り行きから目が離せない。