コロナウイルスはサッカー界にも多大な影響をもたらしている (c)朝日新聞社
コロナウイルスはサッカー界にも多大な影響をもたらしている (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大がサッカー界にも暗い影を落としている。2月25日には、21日に開幕したばかりのJリーグの休止が決定。26日のYBCルヴァンカップから3月15日までのJ1~J3の全94試合が延期されることになった。村井満チェアマンは「24日の政府の専門家会議で『この1~2週間が瀬戸際』という見解が示され、Jリーグとしてもそれに協力することにした」と苦渋の決断を下した背景を説明した。

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 すでに2月中旬から新型肺炎の市中感染は拡大傾向にあり、21~23日の開幕節も運営スタッフやメディア関係者のマスク着用、観戦客の入場ゲートやトイレへの消毒液設置、医師や看護婦増員など対策を講じてきたが、それだけでは済まない状況になったのも確か。本当に3月18日から再開できるかの保証もないだけに、深刻な事態に陥ったと言わざるを得ない。

 苦境に瀕しているのは日本サッカー界だけではない。東アジア諸国はどこも大きなダメージを受けている。その筆頭が新型ウイルス発生源の中国だ。同国では2月22日開幕予定だった中国スーパーリーグの無期限延期が1月30日に発表され、1カ月以上も事態に進展は見られない。

 ACLに関しても、北京国安が2月18日にアウェーでチェンライ(タイ)と戦った以外は全ての試合が4~5月に延期となったが、それも開催できるかどうかは今後の状況次第と言わざるを得ない。中国サッカー協会はホームゲームの中立地開催の道も探っているようだ。北京在住のサッカー記者は現状をこう説明する。

「今季ACLに参戦するのは北京国安、上海申花、上海上港、広州恒大の4チーム。このうち上海申花は2月11日にACL初戦のパース・グローリー戦を消化する予定になっていましたが、オーストラリア政府が中国からの外国人入国禁止を発表。試合開催が不可能になりました。一般人だけでなく、スポーツ選手も同じ扱いを受けたことに対して、中国国内では『屈辱的だ』『理不尽だ』といった反発が出る一方、『仕方ない』『受け入れるしかない』といった声もあり、中国サッカー界の厳しい立場を痛感させられました」

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さらに深刻なのは武漢