巨人・陽岱鋼 (c)朝日新聞社
巨人・陽岱鋼 (c)朝日新聞社

 今年の巨人キャンプ、レギュラー争いで一つの見どころとなったのがファーストのポジションだ。昨年のレギュラーだった岡本和真は本格的にサードに転向となり、阿部慎之助も引退したことで今のところ誰が開幕スタメンとなるかは見えづらい状況だ。

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 そんな中で候補の一人となっているのが陽岱鋼だ。陽といえば日本ハム時代に4度のゴールデングラブ賞に輝いた外野の名手である。高校時代はショートでプロ入り後も数年間は内野手としてプレーしていたが、ファーストの経験はない。そして今回の陽の例に限らず、近年の野球ではファーストの守備を軽視している風潮が見られる。昨年行われたプレミア12でも選出された内野手の中にファーストが本職の選手は一人もいなかった。そこで今回は各球団の一塁手事情から、ファースト守備の重要性を検討してみたいと思う。

 まず昨シーズン、ファーストでスタメン起用された選手の数と最多出場の選手を球団ごとに並べてみると以下のような結果となった。

■パ・リーグ
西武:2人(最多出場:山川穂高・142試合)
ソフトバンク:6人(最多出場:内川聖一・130試合)
楽天:5人(最多出場:銀次・128試合)
ロッテ:3人(最多出場:鈴木大地・74試合)
日本ハム:5人(最多出場:中田翔・99試合)
オリックス:9人(最多出場:モヤ・55試合)

■セ・リーグ
巨人:4人(最多出場:岡本和真・69試合)
DeNA:2人(最多出場:ロペス・140試合)
阪神:7人(最多出場:マルテ・103試合)
広島:7人(最多出場:バティスタ・89試合)
中日:2人(最多出場:ビシエド・142試合)
ヤクルト:4人(最多出場:村上宗隆・117試合)

 一塁手を最も固定することができていたのは西武と中日の2球団で1試合を除いて山川とビシエドが一塁手のスタメンを務めている。次いでDeNAのロペスが140試合となった。一方で最も多くの選手を一塁のスタメンで起用したのはオリックスの9人だ。開幕からT-岡田、マレーロ、メネセスらが入れ替わりで起用され、最終的には途中加入のモヤが最多出場となっている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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“本職”でも意外と苦しむ一塁守備