それを見て、ハっとしました。子どもが2歳近くになり、他の子どもと比べてしまう自分がいたからです。言葉を話すようになったのはうちが早いなとか、歩くようになったのは、うちが遅かったなとか。だけど、姉のこのLINEで、そんな考えが吹っ飛びました。人それぞれスピードがある。それでよい。そのスピードに合わせて色々な選択肢を与えてあげるのが親なのかなと、その時、思いまして。中邑教授にもこの話をしました。

 中邑教授、おもしろい話をしてくれました。とある学校でカーテンにくるまって授業を聞いている生徒がいた。先生は「カーテンから出て、ちゃんと席に戻りなさい」と言った。だけど、その子がカーテンに入ったのには理由があった。机に座ると、話を聞きながらノートに書かなきゃいけない。これだと全然話が入ってこない。「だけど、カーテンにくるまればノートに書かなくていい。これだと話がちゃんと理解出来るんだ!」と。

 世の中のダメはダメじゃない。出来ないことにも理由があって、変な行動と思われることにも理由がある。それを分かって、環境や選択肢を提供できる大人になりたいなと、中邑教授と話をして本当に思いました。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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