朝日を受けて輝きを増していくナイアガラの滝。明部がとばないように、暗部がつぶれないように、RAWデータに残るギリギリのラチチュードをひろって水の色のグラデーションを再現した■ニコンD5・AF-Sニッコール24 ~ 70ミリF2.8E ED VR・ISO50・絞りf22・1秒(写真/高砂淳二)
朝日を受けて輝きを増していくナイアガラの滝。明部がとばないように、暗部がつぶれないように、RAWデータに残るギリギリのラチチュードをひろって水の色のグラデーションを再現した■ニコンD5・AF-Sニッコール24 ~ 70ミリF2.8E ED VR・ISO50・絞りf22・1秒(写真/高砂淳二)

朝日を受けて輝きを増していくナイアガラの滝。明部がとばないように、暗部がつぶれないように、RAWデータに残るギリギリのラチチュードをひろって水の色のグラデーションを再現した■ニコンD5・AF-Sニッコール24 ~ 70ミリF2.8E ED VR・ISO50・絞りf22・1秒(写真/高砂淳二)
朝日を受けて輝きを増していくナイアガラの滝。明部がとばないように、暗部がつぶれないように、RAWデータに残るギリギリのラチチュードをひろって水の色のグラデーションを再現した■ニコンD5・AF-Sニッコール24 ~ 70ミリF2.8E ED VR・ISO50・絞りf22・1秒(写真/高砂淳二)

たかさご・じゅんじ/1962年、宮城県生まれ。宇都宮大学卒。「ダイビングワールド」の専属カメラマンを経て89年に独立。主な写真集に『PLANET OF WATER』『LIGHT onLIFE』『Dear Earth』など
たかさご・じゅんじ/1962年、宮城県生まれ。宇都宮大学卒。「ダイビングワールド」の専属カメラマンを経て89年に独立。主な写真集に『PLANET OF WATER』『LIGHT onLIFE』『Dear Earth』など

「『撮っておけば後で何とかなる』では作品のレベルはどんどん下がる」。インスタグラムやフォトコンテストで増えている、写真の合成と加工について大特集を展開する現在発売中の『アサヒカメラ』3月号で、人気写真家の高砂淳二さんが思いを明かした。「合成はしません。何か大切なエッセンスが失われる気がしますから」と言う高砂さんの意見を参考に、自分自身の写真の哲学を考えるきっかけとしてはどうだろうか。

【写真の合成と加工の正義を熱く語ってくれた人気写真家はこの人】

*  *  *

 フィルムのときからそうですけど、そもそも見た目どおりに写すのが写真じゃないんですね。ベルビアだったら見た目より派手に写る、コダクロームで撮れば渋さが強調される、とかね。モノクロだと焼き込んだり、いろいろなことをやっていた。

 基本、写真というのはそういうことを含んでいる。だから急にいま、デジタルになって、何もさわっちゃいけない、というような世界ではないと思うんです。

 ぼくは生きものも風景も、イメージっぽいのも撮っている。イメージっぽい写真ではフィルターをかけることがけっこうありましたね。どんなふうに被写体を見て、どういうふうに撮る、という世界。

 でも、それを一生懸命にやっていたのは若いとき。やはり、若いときって、いろいろやってみるじゃないですか。自分がどこまですごい世界をつくれるか、みたいなこともあって、いつもフィルターを何十枚も持って行って3枚、4枚と、いろいろな色を重ねて撮る、ということをやっていました。

■見つめている本質をどう写し出すか

 例えば、この花の、この感じを見てほしい、というときには構図とか、光の加減とか、いろいろなものを使って、「この感じ」をなるべく出すわけですが、フィルムの特性とか、いろいろなことからして、このよさは出ないよね、というときはフィルターをかけて補正する。ストロボを被写体にバーンと当てて、周囲の明るさを落として強調するとかね。そういう写真の技法って、いろいろとあるわけです。振り返ってみると、いろいろな試行錯誤をしてきたなあ、と思いますね。

 いまでもいろいろな技法を使いますけれど、そういうことは年をとるにつれて少しずつ減ってきた。もっと真に迫ろうという意識がだんだん増してきた。

 自分は被写体の何に感動しているんだろう、とか。見つめている本質をどうすれば出せるのか、ということを考えると、色が邪魔になってくる部分もあるんです。

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インスタでスマホ写真が世界を駆け巡るいまこそ大切にしたいこと