岩隈久志や野上亮磨などの実績組も今ひとつの状況の中、大きな期待がかかるのが、昨季は韓国で17勝をマークした新外国人のサンチェスだが、日本への適応は未知数で、昨季の実績からクローザーが濃厚なデラロサなどを含めた外国人枠の問題もある。

 野手の鈴木大地獲得に動いたことについても、内野陣の苦しい台所事情が垣間見える。ショートの坂本とサードの岡本和真は不動に近い存在だが、ファーストとセカンドで確固としたレギュラーは不在だ。

 阿部慎之助が引退したファーストは、捕手登録の大城卓三が有力だが、まだ1年を通しての実績はない。ベテランの中島宏之も候補になるが、近年の成績を見ると、多くは望めそうにない。外野守備に定評のある陽岱鋼のコンバートが検討されるなど人材不足は深刻な状況だ。

 セカンドのポジションも、ケガから復帰した吉川尚輝が万全なら強力なリードオフマン候補になるが、腰痛の持病もあり、1年を通じての活躍を期待するのは微妙。また、岡本をファーストで起用する場合も含めて、田中俊太や若林晃弘、山本泰寛らの成長が望まれるが、小粒な印象は否めない。

 日本一奪回には昨年以上の戦力アップが必須となるが、FAで惨敗し、ドラフトで獲得した選手にも超大物は不在という状況で、カギを握るのが新外国人選手だが……。

 外野手では、昨季ナショナルズの世界一メンバーであるパーラが日本でも“Vの使者”となれるかが注目されている。長打力と勝負強さは折り紙付きとの前評判だが、こちらも日本への適応は未知数で、日本での3年間で71本塁打を記録しているゲレーロを切ってまで獲得する選手だったのか、フロントの判断が問われる。

 成績面の数字以外でも、不安材料はある。長年の正捕手で、長くキャプテンも務めた阿部の引退だ。阿部はチームの精神的支柱として、投手だけでなく、野手からも絶大な信頼を受けていた。現在のキャプテンは坂本だが、阿部という大きな存在がいなくなった影響は何かしらあるはずだ。

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天敵・広島の存在も脅威