巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社
巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 昨季は5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人。三度目の就任となった原辰徳監督のもと、開幕から好スタートを切ったチームは、交流戦の時期に首位に立つと、後半戦以降はほぼ独走状態で2リーグ制以降では37回目となる頂点に立った。残念ながら日本シリーズではソフトバンクに4連敗して2012年以来となる日本一は逃したが、低迷が続いた名門が復活の兆しを見せるシーズンとなった。

【写真】ファンが選んだ「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」は巨人のあの選手!

 今季はリーグ連覇と日本一奪回を目指す。原監督は前政権時に、日本一となった12年からリーグ3連覇を記録しているが、その再現はなるのか。

 昨季のリーグ制覇の原動力となったのが、広島からFAで獲得した丸佳浩の活躍だった。18年まで2年連続リーグMVPに輝いた丸の加入で、リーグ3連覇中だった広島の戦力ダウンを呼び込み、さらに坂本勇人の覚醒など、チーム内での相乗効果も大きかった。

 今オフも楽天・美馬学とロッテ・鈴木大地のFA選手の獲得に乗り出したが、美馬はロッテ、鈴木は楽天への移籍が決定した。これまでFA選手の獲得競争で圧倒的な強さを誇った巨人だが、同一年に2人の選手の獲得に失敗するのは歴史的な出来事だった。

 一方で、超大物選手が不在と言われた今オフのFA戦線で、丸ほどの戦力アップは期待できないと思われる2人の獲得失敗は、見方を変えれば若手選手のチャンスが広がるといった好材料という声もあった。しかし、今回のFA戦線の状況は、連覇を目指す巨人の問題点を浮き彫りにするものでもあった。

 巨人が美馬の獲得に乗り出したのは、昨季15勝4敗、188奪三振で最多勝、最多奪三振、最高勝率のタイトルを獲得した山口俊がMLB移籍となり、先発陣が手薄になったからだ。

 今季の陣容を見ると、先発では絶対的エースの菅野智之に続く投手の名前が挙がらない状態だ。昨季8勝のC.C.メルセデスと桜井俊貴、ルーキーで5勝を挙げた高橋優貴などが候補で、他にも高卒2年目で首脳陣の期待が高い戸郷翔征、ドラフト2位ルーキーの太田龍、ケガからの復活が見込まれる畠世周などがいるが、いずれも実績不足で安心材料とは言えない。

次のページ
ファースト、セカンドの人材も…