「女子野球界でルックスが良くても、プロの芸能人とは違う。娘を見ていても競争が激しいのはわかります。例えば、プロ野球選手は技術が突出していても、結果につながる運が必要になる。芸能の世界も突出したルックスがあっても、時代の波をつかむ運も必要。それをつかむために誰もが死ぬ気で努力している。女子プロ野球選手を芸能人的に扱っても限界があります」

 窮余の策としての営業努力だとは認めつつも、本西氏はその方法論について疑問を投げかける。

 日本の女子野球は世界的にトップに君臨する。2年おきに開催のW杯では18年に6大会連続6度目の優勝を達成するなど敵なしの状態だ。女子野球人口も増えているが、そんな状況下での女子プロ野球を襲った激震。本西氏は大きくわけて2つの問題があると語る。

「1社でリーグすべてを負担するというのには無理がありました。本来なら創設から数年かけてエクスパンションでもっと球団数を増やしたかった。そうすることで全国に女子プロ野球の知名度も広がり、プレーする選手もさらに増える。国内の景気などもあって、それができない状況でここまで来てしまった。今回の件も『わかさ生活』以外の他企業が見つからなかったのも大きな原因と聞いています」

 1つ目はリーグをサポートする企業が『わかさ生活』しかなかったことだ。選手の人件費や試合興行を行う費用など莫大な負担を1社で抱えて継続するのは非常に大変なことだ。

「協力してくれる企業や人を探し出すこと。頭を下げて回れば、こういう時代でもいくつか見つかるはずです。僕が所属している『ハナマウイ』もクラブチームだけど、野球好きの企業経営者が協力してくれています。とにかく熱意をもってお願いして、協力者を見つけ出すことだと思います」

 そしてもう1つの問題は「これはNPBや他競技でも言えることですが、プロとアマの垣根ができてしまったこと」だという。その理由の1つとして、プロ側のプライドを指摘する声も聞かれる。プロとアマのレベル差が小さい女子野球界では、交流戦などでプロが負けてしまうことも多々ある。プロ側もプロアマ交流戦に二の足を踏むようになりつつあったという。

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プロとアマに垣根が…