ただ逆に、お台場周辺の大型ショッピングモール関係者には特需への期待も高まっている。お台場名物・自由の女神像の前にある「アクアシティお台場」に勤務するショップスタッフはこんな話をしていた。

「東京五輪・パラの期間はゆりかもめの終電が伸びることが正式決定しました。となれば、アクアシティ全体が営業時間を延ばして対応することになるかもしれない。そういう検討をしていると聞きました。早朝から深夜までオープンすることになれば、お客さんの数は増えるでしょう。現在の来訪者の6割以上が外国人で、中国のみならず、ベトナムやシンガポールなど東南アジアからの観光客が増えていますが、今年の夏はもっと多くの国からお客さんがやってくると思います。我々にとっては追い風ですね」(アクアシティに10年勤務する男性)

 アクアシティお台場の現在の営業時間は11時~21時(一部例外あり)。だが、五輪トライアスロンとパラトライアスロンは暑熱対策を考えて早朝に行われる。このため、アクアシティも早朝オープンになる可能性は高い。しかも、終電時間が延びるなら、クローズも23~24時にずれ込むことは十分考えられる。稼働時間が長ければ長いほど来訪者は増え、五輪・パラの高揚感もあいまって買い物ニーズは高まるだろう。

 しかし、来訪者が増えれば増えるほど深刻になるのが交通混雑だ。五輪・パラの期間は近隣道路の規制が敷かれるため、お台場地区を訪れようとする人は公共交通機関を使わなければならない。ところが、この付近の駅はゆりかもめの「お台場海浜公園駅」と「台場駅」、りんかい線の「東京テレポート駅」の3つしかない。後者の方はJR線に乗り入れるような車両編成で多少の収容力があり、東京テレポート駅もより多くの人を捌く余裕がありそうだが、前者の方は6両編成。収容人員数がそれほど多くないうえ、駅も狭くて大規模イベントに対応しきれる状況とは言い難いものがある。

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交通事情には不安が