東京五輪まであと半年を切ったが、不安も依然として残る (c)朝日新聞社
東京五輪まであと半年を切ったが、不安も依然として残る (c)朝日新聞社

 2020年東京五輪の開幕までいよいよ半年を切った。昨夏にはカヌー・スラロームセンターや海の森水上競技場など新設会場が続々と完成。今年に入ってからは新国立競技場がオープンの運びとなり、すでにサッカー天皇杯やラグビー大学選手権が実施されている。さらに2月2日には、バレーボールや車いすバスケットボールの会場となる有明アリーナの完成披露イベントも行われ、本番への準備は着々と進んでいる印象だ。

 しかしながら、宿泊施設の不足や交通問題、セキュリティ面の不安、新型コロナウイルスなど、本番に向けての懸念材料は依然として少なくない。全ての会場でスムーズな競技運営がなされるどうかも、やはり心配される点だろう。

 その1つがトライアスロンとマラソンスイミング、パラトライアスロンの行われるお台場海浜公園だ。2019年夏に行われたテストイベントでは、想定外のアクシデントが起きたのだ。国際トライアスロン連合(ITU)が実施した水質検査で、ITUが定める基準の2倍を超える大腸菌が検出され、4段階の評価のうち、最も悪いとされる「レベル4」と判定されたのだ。これにより、「パラトライアスロンワールドカップ」の水泳が中止。マラソンと自転車だけのデュアルレースという変則的対応を余儀なくされたのだ。

 危機感を募らせた組織委員会と東京都は、同じ事態を阻止すべく対策を検討していた。そしてこの1月から抜本的な水質改善に打って出た。神津島から1万立方平方メートルの砂を運搬して海底の泥の巻き上げを防ぎ、水質維持を図るというのだ。工事費用は砂の運搬費用を除いて約6000万円。またしても余計な出費を強いられることになった。

 また、こういった大掛かりな工事が行われるとなれば、海浜公園の利用が制限されるのも当然のこと。すでに1月から一部エリアが立ち入り禁止になっている。3月以降は本番に向けた準備が本格化するため、利用が完全休止になるという。ここを憩いの場としている近隣住民や家族連れにとっては残念なニュースだ。

次のページ
五輪開催でダメージを受ける人も