■日本ハム:2011年
・主な指名選手:松本剛(2位)、近藤健介(4位)、上沢直之(6位)

 過去10年の最大のヒットは言うまでもなく2012年1位の大谷翔平だが、その年は他の選手で戦力となったのが鍵谷陽平(3位)くらいしか見当たらないため除外した。そして選んだ2011年は1位で菅野智之(2012年巨人1位)を指名して入団拒否されている中で、三人の高校生が成長したという点が大きい。松本は活躍したのは2017年だけだが、近藤はリーグを代表する打者に成長。上沢も昨年は打球が直撃するアクシデントで長期離脱したものの、チームのエース格となっている。1位指名で菅野を逃しても、これだけの成果を出しているというのは非常に珍しい。2018年に指名した野村佑希(2位)、万波中正(4位)、柿木蓮(5位)、田宮裕涼(6位)などが2011年の選手のように成長すれば、再び日本ハムが勢いを取り戻す可能性は高いだろう。

■オリックス:2016年
・主な指名選手:山岡泰輔(1位)、黒木優太(2位)、山本由伸(4位)、澤田圭佑(8位)

 投手が苦しい中で吉田正尚を敢然と1位指名した2015年も大きかったが、成功している選手の多さではやはりこの2016年になるだろう。山岡は社会人ナンバーワンの前評判通りに一年目からローテーションに定着。昨年は最高勝率のタイトルも獲得している。2位の黒木も昨年故障で離脱したが、中継ぎとして結果を残した。そして最大のヒットが4位の山本だ。大舞台での実績がないことと、上背のなさもあって4位という順位になったが、高校時代からその能力の高さは際立っていた。短いイニングで結果を残して自信をつけてから先発に転向したことも奏功した。山岡、山本という二人の大きな柱ができたことで、昨年の将来を見据えたドラフトに繋げられたことも非常に大きいと言えるだろう。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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