ノースロー調整中だった奥川が、新人合同自主トレで球を投げてしまう場面があった。

「押し出す程度だったのでセーフです」

 守備練習中、本人は軽い気持ちで1球だけ投げたのだが、周囲は大慌て。そばにいたスカウト陣から「ダメだよ」とすぐに静止された。

 子どもの頃から投手として投げてきたので、今は最もつらい時期だろう。しかし、過去の多くの先輩たちのように、早々とつぶれてしまっては意味がない。高い能力を兼ね備えているだけに奥川、そしてヤクルトの双方に忍耐が求められている。

 目先だけでなく、数年先の大エースに育てるという長期的展望を徹底するべきだろう。そして、2027年に完成予定の新神宮球場のマウンドに堂々と立っていて欲しいものだ。