創志学園・三方陽登(写真提供・ 西尾典文)
創志学園・三方陽登(写真提供・ 西尾典文)
帝京・加田拓哉(写真提供・ 西尾典文)
帝京・加田拓哉(写真提供・ 西尾典文)

 第92回選抜高校野球(3月19日開幕)の選考委員会が1月24日に開かれ、出場する32校が決まった。4季連続出場となる明石商の中森俊介(投手)と来田涼斗(外野手)、昨年秋の明治神宮大会優勝投手となった高橋宏斗など注目選手は多いが、その一方で惜しくも出場を逃したチームにも春以降が楽しみな選手は少なくない。そこで今回はあと一歩甲子園に届かなかった補欠校の中から、夏にはぜひ甲子園に辿り着いてもらいたい逸材たちをピックアップして紹介したいと思う。

【補欠校にいる職人的スゴ技を持つ選手の写真はこちら】

 まず補欠校としてあと一歩選抜に届かなかった学校の顔ぶれは以下の通りである。

・21世紀枠
伊香(滋賀)
近大高専(三重)

・北海道
札幌日大

・東北
盛岡大付(岩手)
仙台城南(宮城)

・関東
習志野(千葉)
西武台(埼玉)

・東京
帝京

・東海
藤枝明誠(静岡)
愛工大名電(愛知)

・北信越
敦賀気比(福井)
佐久長聖(長野)

・近畿
京都翔英(京都)
奈良大付(奈良)

・中国
創志学園(岡山)
矢上(島根)

・四国
岡豊(高知)
新田(愛媛)

・九州
沖縄尚学(沖縄)
宮崎日大(宮崎)

 毎年のことではあるが、最も選考が難しいのが関東・東京の6校目だ。今年は特に2011年夏以来、甲子園から遠ざかっている“東の横綱”、帝京の復活に注目が集まったが、関東大会ベスト8の花咲徳栄(埼玉)に競り負ける形となった。そんな帝京で注目の選手が3番、センターの加田拓哉(2年・右投右打)だ。秋の都大会では全6試合でヒットを放ち、18打数7安打の活躍。準決勝の創価戦では6回に同点ホームランを放ち、チームの逆転勝ちに大きく貢献した。タイミングをとる動きが小さく、ギリギリまでボールを呼び込んで強くたたくバッティングはパンチ力十分。差し込まれるのを恐れない姿勢は、職人的な凄みを感じさせる。センターでの動きと肩の強さも申し分なく、将来的には波留敏夫(元横浜など)のような選手になりそうな雰囲気がある。

 北信越で補欠1位の敦賀気比は昨年夏の甲子園でも好投した笠島尚樹(2年・投手・右投右打)が既にプロ注目の好投手だが、素材の良さでは控えの松村力(2年・投手・右投右打)も負けてはいない。たくましい体格から投げ込む力のあるストレートが最大の持ち味で、変化球もスライダー、チェンジアップと対になるボールを上手くコーナーに投げ分けることができる。昨年夏の甲子園では2試合でわずか1回2/3の登板だったが、最速142キロをマークしている。秋の北信越大会では登板機会がなく、悔しい思いをしただけに、春以降は笠島とともに不動の二枚看板を形成して、甲子園に戻ってきてくれることを期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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投打ともに好素材の多かった近畿の高校