ただ、糸井の妻も不倫関係を公認していたこともあってか、仕事への影響は限定的だったようだ。84年には、NHKの朝の連続ドラマ小説「ロマンス」でヒロインを演じた。糸井とは93年に結婚。現在はソフトバンクのCMで母親役を続けている。不倫騒動が出るとドラマもCMも降板しなければならない今とは隔世の感がある。

「魔性の女」と呼ばれた葉月里緒奈は、20歳の時に映画『写楽』で共演した真田広之と不倫関係になった。それでも、「恋愛相手に相手がいても平気」と豪語した。激しいバッシングを受けたが、その後もイチローとの熱愛報道が世間を騒がせた(葉月は関係を否定)。98年には篠山紀信撮影のヌード写真集『RIONA』がベストセラーに。現在は3度目の結婚をしたことが明らかになっている。

 最近では、小泉今日子の「交際宣言」が話題を集めた。小泉は2018年、長年所属してきた事務所から独立したことを契機にコメントを発表。家庭のある俳優・豊原功補について「同じ夢を追う同士」と表現し、「恋愛関係でもあります」と言い切った。独立後は女優や歌手業は基本的に休業して、現在は舞台の制作やプロデューザー業をしているという。

 不倫報道に動じなかったのは女性だけではない。96年に長谷川理恵との不倫が発覚した石田純一は「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」とコメント。こちらも激しいバッシングを受けたが、現在では芸能史に残る“名言”として記憶されている。

 海外に目を向ければ、「愛の国」フランスは不倫に寛容な歴史がある。ミッテラン元大統領は、夫人以外の女性との関係について追及されても「それで?」と答えただけ。政治家としての仕事の内容は厳しく批判しても、私生活は個人の自由として尊重する。メディアも国民も“政性分離”で一貫している、フランスならではのエピソードだ。

 ひるがえって日本では、小泉進次郎環境相が、滝川クリステルとの結婚前に実業家の既婚女性と不倫関係にあったことが報道された。小泉氏は「個人的な事柄については、私からお話しすることはありません」と、“フランス流”で毅然とコメントを拒否。一方、不倫相手と宿泊したホテルの代金を自身の政治資金から支出した疑惑については、「法令に従って適正に処理している」と歯切れが悪かった。

 結婚や離婚と並び、いつの時代も不倫騒動は“芸能マスコミの華”である。言いわけ、切り返しも人それぞれで、個性が出るので話題になる。絶妙な返しであれば、バッシングを消すことができるのもたしかだ。ただし、一般人が修羅場の時に有名人のマネをすると取り返しがつかないことになりかねない。くれぐれもご注意を。

(AERA dot.取材班)