一軍での実働はわずか5年間、通算成績は90試合出場で36安打6本塁打と寂しい結果に終わった。その後はクラブチームでプレーしたのち、BCリーグでコーチなどを務めた。

 高校球界のスター選手として鳴り物入りでプロ入り。同じ左打者で入団先はロッテと、澤井とは共通項が多い。平沢、安田、藤原の3人は今後、どのようなプロ野球人生を歩むことになるのだろう。

「すべては球団としての方針にかかっている。すぐに勝ちたいのか。それとも長い目で柱となる選手を育てて、確固たる強さを求めるのか。ここ数年、ロッテはドラフト上位で高校生野手を獲得している。彼らを育てようとしているのか、と思えば一軍で起用しない。これでは選手も伸びない」

 3人がロッテの柱となるためには、試合に出すしかないと本西氏は力説する。

「現在のままでも、ある程度、結果を出すと思う。でもその先、上のレベルの選手になるには、プレーして失敗や成功を繰り返して気付くしかない。そのための機会を与えるべき選手たち。仮に、本人がそれを生かせなければ、そこまでの選手だったということ。でも、ここまでを見ていると、現状の起用方法では成長を期待できない。高卒選手は大卒と同年代の24、5歳までには独り立ちしたい。それができないとトレード要員などになる。時間は長くない」

 平沢、安田、藤原の3人は誰が見てもロッテ期待の星である。それならば、球団全体で腹を括るべき時期に差し掛かっている。

 毎年のようにオープン戦までは名前を聞いても、開幕するといつの間にか目にしなくなる。聞こえてくる情報がプライベートやルックスを生かしたファッションページのようなものばかりでは悲しい。誰もが期待しているのはユニフォームでフィールドを駆け回る姿だ。

 かつての有望選手のような末路を歩ませてはいけない。大いなる可能性を秘めた3選手を、球団のみでなく、球界の宝に育て上げる責務がロッテにはある。