しかしまあ、どうして「実費を払っても、饅頭あげないよ」なんていう、意地の悪い話になってしまうのでしょうか。

 PTAは長い間「親の義務」のように扱われ、思い込まれてきました。子どもが学校に入ったら親を自動的に入会させて、「みんなやっているんだから、あなたもやらなきゃダメ」という同調圧力でもって、活動や団体を保ってきたところがあります。

 だから「本当は退会できる」なんていう事実は、極力知られたくないのです。義務だと思い込んだまま、みんな黙って会員で居続けてもらいたい。だから「やめる」なんていう人が出てきちゃったときは、本人を思いとどまらせるため、そして周囲に追随する人が出ないようにするため、「やめると不利益を被る」ことをアピールしたくなってしまうのでしょう。

 「じゃあ、やっぱりPTAはやめないほうがいいのかな」と思う人もいるかもしれませんが、それでは相手の思うつぼ。おかしいと思ったら、大人しく従うのでなく「PTAは 学校に通うすべての子どものために活動する団体のはず。会員限定サービスをする団体に施設を使わせることを、なぜ学校は認めるのか」と、校長に聞いてみてはもらえないでしょうか。

 校長に言ってもダメなときは、教育委員会に同様の訴えを。

 万一それでも話が通じないときは、「気にしない」という勇気も必要かもしれません。もし子ども本人が気にしていなければ、わが子がほかの子と違う扱いを受けることを、親が「かわいそう」と思わなくてもいいのでは(子ども本人が気にしているときは、そうはいきませんが)。

「見せしめ」という脅迫に負けて、「やっぱり、やめるのやーめた!」という人ばかりだと、PTAはいつになっても変われないままなのですよね。(文/大塚玲子)

●大塚玲子(おおつか・れいこ)/PTAや家族などをテーマに取材を続けるジャーナリスト。全国各地で行う講演会「PTAをけっこうラクにたのしくする方法」も好評。著書に『PTAがやっぱりコワい人のための本』など

●2コマでPTAを叫ぶ母/関西在住の主婦。子どもが通う学校でPTAの本部役員を引き受けた経験から、ブラックPTAを改革すべく自作マンガを日々ツイッター(@PTA_no_black)で発信中! ※内容は実体験に基づくフィクションです