かつてのタイトルホルダーも厳しい状況に置かれている選手は少なくない。最多勝を2回、最優秀防御率を1回獲得し、通算89勝を誇る吉見一起もここ数年は低迷が続き、昨年はわずか1勝に終わった。また同僚で2014年に最多勝と最高勝率の二冠に輝いた山井大介も、今季は12球団で最年長投手となり崖っぷちの状態が続いている。若手投手が台頭してきているチームの中で存在感を示すことができなければ、二人揃って今季限りで引退ということも十分にあり得るだろう。

 最多勝2回、最多奪三振1回を獲得している内海哲也も厳しい状況だ。炭谷銀仁朗の人的補償で昨年西武に加入し、先発投手陣の一角として期待されていたものの故障が相次ぎ一軍登板なしでシーズンを終えた。オフには志願してフェニックスリーグに参加したものの、左前腕部を痛めて10月下旬には手術も受けている。西武は苦しい投手陣だけにチャンスはあるかもしれないが、まずは故障を治すことが先決だろう。

 野手ではベストナイン2回、ゴールデングラブ賞3回に輝いているパ・リーグきっての名手、藤田一也も崖っぷちだ。昨年は5月に右脚の内転筋を痛めて戦線離脱したことが響いて、楽天移籍後は最低となる61試合、32安打という成績に終わった。チームはオフにFAロッテから鈴木大地を獲得し、またドラフトでも1位で即戦力候補の内野手である小深田大翔を指名するなど、内野陣の整備を一気に進めている。

 そのような状況を考えると、いくら実績のある藤田であっても出場機会は更に減少することが予想される。今年で38歳という年齢を考えても、ここからの復活は簡単なことではないだろう。

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他とは違った意味で“崖っぷち”