大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)

※写真はイメージです(Gettyimages)
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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第9回の質問は「青色の野菜や果物がないのはなぜですか?」です。

*  *  *

【Q】いろいろな色の野菜や果物があるけれど、青色のものがないのはなぜ?

【A】空の色と同じであると目立たないからです。

 みなさんは色水遊びをしたことがありますか。私は小学生のころ、夏休みにはよく色水遊びをしました。花や野菜を水中でもんで色を出します。青い色水は涼しい気分にさせてくれるので、とくに好きでした。青色を出したいときは、アサガオやツユクサをつんできて作りました。

 アサガオやツユクサは青い花をつけます。つまり、青色の花や実をつける植物がまったくないわけではないのですが、確かに少ない。これには理由があります。空の青色に近い植物は目立たないので、子孫を残すのに都合が悪いからです。

 そもそも、花や果実に色がついているのは、昆虫や鳥に見つけてもらうためです。昆虫や鳥が体に花粉を着けて運んでくれたり、実を食べたあとに種を遠くに蒔いてくれたりすることで、その植物の子孫が繁栄します。その証拠に、風に花粉や種子を運んでもらう仕組みを持つマツやスギは、地味な暗い色をしていますね。昆虫や鳥に見つけてもらう必要がないので、目立った色にはならなかったのです。

 それからもうひとつ。栄養のある実をつけたほうが、それを求めて昆虫や鳥がより集まりやすい。結果として、繁殖を動物に頼る植物の花や果実には、目立った色彩を持っていることと、栄養があることという二つの条件が備わったのです。その結果、栄養のある植物は赤や黄色といった目立った色を持つようになり、そういった色彩が私たちの目に触れるようになったのです。

 逆にマツやスギは寒い地域に多く生えていますよね。土の栄養が少ない地域では栄養のある実をつけにくく、昆虫や鳥が集まらないため、繁殖を風に頼るしかなくなったのです。

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石川幹人

石川幹人

石川幹人(いしかわ・まさと)/明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。東京工業大学理学部応用物理学科卒。パナソニックで映像情報システムの設計開発を手掛け、新世代コンピュータ技術開発機構で人工知能研究に従事。専門は認知情報論及び科学基礎論。2013年に国際生命情報科学会賞、15年に科学技術社会論学会実践賞などを受賞。「嵐のワクワク学校」などのイベント講師、『サイエンスZERO』(NHK)、『たけしのTVタックル』(テレビ朝日)ほか数多くのテレビやラジオ番組に出演。著書多数

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もし植物がみな、空の色と同じだったら…?