■大暴れする時代劇を見てみたい

 一方で「40歳を手前にして新たに脱皮した」(「リアルサウンド」2019年11月15日付)と語っている桐谷だが、そのキッカケが意外とピュアだった。何でも、夕暮れ時の公園で出会った子供たちが冒険ごっこを始めたので『危ないから』という理由でついて行ったとか。探検ということで四つん這いにならないと通れないような場所を進んだそうだが、前から太陽がピカッと差してきた。これに桐谷は少年の頃の自分に戻った感覚になって涙し、「この感覚!」と、心や体にくっつけすぎたものを取っていこうと決心したという。そんな人間性だからこそ少々演技がオーバーでも、自然と視聴者は心をくすぐられるのかもしれない。

 カメレオン俳優と呼ばれる役者が増えている中、彼らとは違った独自のポジションを築きつつある桐谷。ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、そんな彼の魅力についてこう分析する。

「今から6年ほど前、彼がまだauのCMに出演する以前にインタビューをしたことがあるのですが、『もし人生の選択肢が2つあったとしても、どっちも取っていきたい』と熱く語り、最後に自ら握手を求めてきた姿に、とても人間臭い魅力にあふれた人だなという印象を持ちました。そんな飾らないまっすぐな生き方に、きっと多くの人が惹かれるのでは。出演作は現代劇が圧倒的に多いですが、あの情熱はむしろ時代劇映えすると思うので、刀をふるって大暴れする姿もたくさん見てみたい。まもなく桐谷さんも40代に突入しますが、ミドルエイジクライシスにあえぐ中年サラリーマンの役などもハマりそうです。いずれにせよ、これから先、さらに人間的魅力を増し、ますます俳優として活躍の場が増えていくのではないでしょうか」

 今回のドラマで演じる熱血刑事でそんな魅力をどこまで発揮できるのか。キャラにピッタリな役どころで、毎週の演技が楽しみだ。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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