これまた以前、洗面所で少しかがんだ瞬間、腰に痛みが走りました。「はうぅ!」と叫ぶ僕。「腰があああああ腰がああああああああああ」。その声に駆けつける妻。「どうしたどうした?」「腰があああああかがんだら腰がああああああああああ」。妻の第一声は「なんでそんな面白いこと私が見てないとこでするの!」。

 ごめんなさい、涙で目が霞んできました。ガラケーの画面が霞んできました。僕は妻を笑わせるためにぎっくり腰になったのではありません。そして「今回の佐藤二朗、『あ』の乱用で文字数を稼ごうとしてるな」と思っているそこのアナタ。わりと正解。いやでもね、この病的なテンパリ癖、本当になんとかしたいと思っているのですよ。だって、良いこと、何もないんだもん。強いて言うなら、こうしてコラムが1個書けたことかな。あ、もう1つ良いことあった。妻が笑うこと。ふふ。なんだよ新年早々また惚気(のろけ)かよとなったところで、今年もひとつ、よろしく。(文/佐藤二朗)

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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