予約が殺到したドラゴンボールの着物。作品名は「未来トランクス」だ(撮影/伊ケ崎忍)
予約が殺到したドラゴンボールの着物。作品名は「未来トランクス」だ(撮影/伊ケ崎忍)
「アニメと着物を組み合わせて、何かできないかと思ったんです」と語る福岡七海さん(撮影/伊ケ崎忍)
「アニメと着物を組み合わせて、何かできないかと思ったんです」と語る福岡七海さん(撮影/伊ケ崎忍)
福岡さん一押しの「宇宙サバイバル」(撮影/伊ケ崎忍)
福岡さん一押しの「宇宙サバイバル」(撮影/伊ケ崎忍)
予約が殺到したドラゴンボールの着物。作品名は「フリーザ復活」(撮影/伊ケ崎忍)
予約が殺到したドラゴンボールの着物。作品名は「フリーザ復活」(撮影/伊ケ崎忍)

 着物を広げると、大きなキャンバスに描かれた「ドラゴンボール」の世界が現れた。悟空やクリリン、ベジータといったキャラクターたちが、着物のなかで存在感を放っている。撮影を見守っていたドラゴンボール世代の編集部員(40)からは「かっこいい!」と感嘆の声が漏れた。

【写真】美人ライバーの福岡さんと、そのほかの着物はこちら

 昨年12月、この着物が販売されると、初日に予約が殺到した。仕掛け人は、着物とアニメのタイアップを手掛けるブランド「e.n」(エン)だ。

「今回の企画のために、『ブルマ』を意識して、髪を染めてみました!」と笑顔で話すのはe.n代表で、Tik tokなどでライブ配信活動もしている福岡七海さん(23)だ。ブルマは主人公の孫悟空が最初に出会った仲間で、物語のヒロイン的なキャラクターである。福岡さんに、ドラゴンボールとのタイアップに至った経緯や思いを聞いた。

*  *  *

 着物業界は今、厳しい状況に置かれている。呉服関係の業界誌を出版している「きものと宝飾社」の調査によると、着物の小売市場は年々縮小。ピークだった1980年の約1兆8,000億円から、18年には約2,875億円と6分の1以下に。ここ数年は過去最低を更新し続けている。

「ライフスタイルの変化で、着物を着る人が少なくなったことに加え、近年の冠婚葬祭の簡略化が追い打ちをかけています。着物は高価格帯のものですから、フォーマルな場にこそ需要がありましたが、その場すらなくなってきているのです」(きものと宝飾社の担当者)

 着物を選ぶ“基準”にも変化が出てきている。前出の担当者は言う。

「これまでの着物は『産地』や『技法』が注目されてきました。しかし現在は、自分に似合うか、柄が好みにあっているかの『デザイン』重視に変わってきています。また作り手側も、若者に人気のゲームやアニメのキャラクターなどとタイアップすることで注目を集めようという試みを始めています」

 今回のドラゴンボールの着物もその一つだ。

「アニメが好きで、海外のジャパンエキスポの盛り上がりに『日本のアニメはすごい!』といつも思っていました。一方で、着物の市場は厳しくなっています。それは私の地元・姫路でも感じていました。アニメと着物を組み合わせて、何かできないかと思ったんです」(福岡さん)

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