番組には僕の笑い声がずっと入ってますが、「こんなにスタッフの笑い声が入る番組も珍しい」って言われるほど、僕は真剣に笑います。もう、屁が出るまで笑い転げますから。ほんとに(笑)。

 でも、最初の観客である僕がそこまで笑えないと、面白い番組にはならないんです。だから大泉さんもずっと必死ですよ。それはアカデミー俳優になっても、変わってません。

■最新鋭の機材なんていらない!?

――レギュラー放送開始から早20年以上。カメラはどんどん小さくなり、ドローン撮影も手軽になりました。新しい「どうでしょう?」でも、どうですか?

 確かにね。ハイビジョンカメラだの4Kだの8Kだの、技術の進歩は素晴らしいですよ。でも、僕らにはほとんど関係ありません。番組をスタートさせた当初も、局から言われました。「せっかく海外ロケ行くのに、三脚も持っていかないのか?」って。僕らは雄大な景色を撮るわけじゃない。どれだけ身軽にハンディに、鈴井さんと大泉さんの表情を逃さずとらえられるか、っていうだけですから。

 その一方で、カメラの存在っていうのはすごく大切です。逆の意味で、超小型なものはむしろやめてくれ、って大泉さんはいいます。小さすぎると「撮られてる」っていう意識が薄くなるらしいです。

 今時、Go-Proだのドローンだの、小型で高性能な機材はいっぱいあります。でも僕らはカメラを、レンズを大泉さんにどーんと、向け続けます。「大泉さん、撮ってますよ!」っていうアピールです。「何としても面白くしてやる!」っていう大泉洋の気持ちを受け止めるには、やっぱりカメラが中心になくちゃダメなんです。そういう意味では、どれだけ時間を経ても変わらないのは機材も人間も同じかもしれない。

 今や大泉洋も、安田顕も大俳優です。でも『水曜どうでしょう?』では、僕ら同じ船に乗った仲間です。よそでどんなに偉くなったって「大泉さん、一番年下なんだから荷物持ってよ」(笑)。

 それでいいんだと思います。

(取材・構成/浅野裕見子)