■人生100年時代、年金受給額の差は4000万円にもなる?

「そんな100歳まで生きるわけないよ。だって早死にしたら貰い損になるんでしょ? だったら早く貰った方が得に決まってるよ」

 そう考える人は早く貰えば良いと思います。でも、年金の本質は保険です。損得で考えるべきではありません。万が一長生きした時にお金が無くなってしまうことを考えたら、延ばせるものなら後にずらした方が安心ではないでしょうか。それに死んでしまえば損も得もありません。長生きした時の生活を豊かにするのが年金の繰り下げと知っておいた方がいいでしょう。

 また、60歳で早めに貰う人と70歳から貰う人を比べてみると、100歳で受け取る支給額の総額は約4000万円の差が出ます。ひょっとしたら資産寿命を延ばす一番良い方法が年金の繰り下げ受給なのかもしれません。

<著者プロフィール>
大江英樹/大手証券会社で定年まで勤務した後に独立。経済コラムニストとして書籍やコラム執筆のかたわら、全国で年間140回を超える講演をこなす。専門分野はシニア層のライフプランニング、資産運用及び確定拠出年金、行動経済学等。おもな著書に『定年前』『資産寿命』(ともに朝日新書)などがある。