大事なのは、こういうことをしょっちゅうやるわけじゃなく、何年かに一度、大きな刀を出して、ズバっと切る。視聴者の想像を超えていくわけですね。おもしろさも振り切ると、感動にすらなると僕は思っています。

 やるのはタレントですが、最初にやらせるかどうかをジャッジするのはマネージメントであり、この手腕が問われるわけです。「おもしろいと思えるかどうか?」「振り切れるかどうか?」「タレントを口説いて納得させられるかどうか?」

 今から15年ほど前、「SMAP×SMAP」の楽屋で打ち合わせしていた時に、爆笑問題の太田さんに言われたことがある。「スマスマでは“事件”が見たいんだよ」と。これは当時のスマスマだけでなく、テレビ全般がそうだと思う。「事件が見たい」。テレビのスタッフが出演者と作り出す事件。タレントさんのプライベートで起きた事件ではない。作り出す前向きな事件。

 この事件を生み出すには様々な人のパワーがいるが、まず大切なのはマネージメントの振り切り力。改めてテレビで、バラエティーで事件が見たいんだと、それがあるからテレビが必要なんだと思わせることができるんだよなと感じている2020年1月。振り切ろう。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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