翌2015年にオーストリアのザルツブルクへ移籍。そこからの5年間は忍耐と苦悩の連続だったが、地道な努力は絶対に裏切らないということを、彼は育成年代の経験から熟知していた。リバプール入りという大きな成果を手にできたのも、辛抱強くチャンスを伺い続けたからに他ならない。

 ワールドカップで華々しいプレーを見せるロナウドなど世界最高峰のスターたちに憧れ、ビデオを擦り切れるほど見て学び、壁にぶつかるたびに悔し泣きをし、エゴイストで勝気な一面も持ちながら、逞しく育ってきた南野拓実。そんな原点は未来への成功の大きな糧になるはずだ。彼の大舞台での挑戦は今、まさに始まったばかり。本当の勝負はここからが本番だ。(文・元川悦子)