そもそもなぜこの新ルールが導入されたかというと、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが力を入れている試合時間短縮の一環としてだ。だがデータ会社『エライアス・スポーツ』によると、2019年シーズンで新ルールでは認められない登板だったのはリーグ全体で649回。3.74試合に1回しかなかった。

 たったこれだけのケースで多少の時短を図る代償として、一部の投手たちの現役生活を縮めたり、監督の継投策やGMの編成プランに影響を及ぼすのは果たして得策なのか。個人的にはそうは思えないというのが正直なところだ。

 いち野球ファンとしても、リリーフに失敗した投手がマウンドに残されてさらに炎上する場面を見るのは興ざめでしかない。それでビッグイニングが頻発するようでは、かえって試合時間も長くなるのではなかろうか。MLBではすでに導入が決まってしまったのでもう取り返しは付かないが、何事もMLB追随になりがちなNPBの関係各位には、慎重な判断を求めてやまない。(文・杉山貴宏)