警戒すべきはアルマゲドン地震だけではない。ここ数年は本地震(2016年)、大阪北部地震(18年)、北海道胆振東部地震(18年)など、内陸部の直下型地震が相次いでいる。一般的に、内陸部で発生する地震は活断層帯が動くことで発生すると思われているが、それは正確ではない。

「断層が地表にあらわれる規模の地震は、おおよそM6.8以上が目安とされています。裏を返せば、それ以下の大きさの地震は、地層に痕跡が残りづらい。大阪北部地震や北海道胆振東部地震も、既知の活断層帯からやや外れた地域で発生しています。『活断層帯から外れているから地震は心配しないでいい』というのは間違いです」(宍倉氏)

 日本に住んでいる限り、地震から逃れることはできない。そこで必要なのは、日ごろから防災意識を持ち、備えをしっかりしておくことだ。

 現在でも地震によるケガの原因の約30~50%が、家具類の転倒や落下によるものだ。すべては難しくても、寝室や居間にある家具だけでも固定するだけで効果は大きい。大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊で登校中の女児が亡くなった。日ごろから危なそうなブロック塀がある場所を把握しておき、いざという時に近づかないようにしたい。

 強い耐震能力をうたった高層ビルやタワーマンションも多いが、だからといって建物が揺れないわけではない。むしろ、大きな地震の場合は高層の建物がゆっくりと大きな幅で揺れ動く「長周期地震動」が発生する場合がある。家具や家電製品を固定していなければ、ケガの危険だけではなく、ドアをふさがれて逃げ場を失う可能性もある。キャスター付きの冷蔵庫は、部屋の中を速いスピードで動きまわる可能性もある。最新の耐震設計だからといって、安心してはいけない。

 発災後に避難所生活になった後も、注意が必要だ。東日本大震災では18年9月までに災害関連死で3701人が亡くなっている。復興庁の調査では、12年3月までに調査対象1263件のうち51%にあたる638人が避難所での肉体や精神的疲労が原因で亡くなったという。避難所・避難生活学会の水谷嘉浩理事は、避難所での生活のリスクをこう説明する。

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実は危ない避難所生活