家族性アルツハイマー病は遺伝子の変異で起きます。しかも親とほぼ同じ年齢で発症するため、発症時期が予測できます。

 発症するずっと前,まだアミロイドβが蓄積していないところから認知症予防の薬を服用し、もし親と同じ年齢になっても認知症を発症しなかったら、その薬剤はとても効果があることになります。

 この検査・調査を積み重ねていくことで、本当の意味での認知症予防になるのではないか。現在、この研究が進んでいます。うまくいけば今後、アルツハイマー型認知症の発症予防ができ,この認知症を撲滅できる日が来るかもしれません。(構成/長谷川拓美)

〇馬場 元/東京都出身。1994年順天堂大学医学部卒業。2000年ケンブリッジ大学留学、07年順天堂大学院医学研究科精神・行動科学准教授、11年順天堂大学順天堂越谷病院副診療部長、18年教授。日本精神神経学会専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医