お金が潤沢にあっても、幸せになれるとはかぎらないのです。

「お金」はあくまでも手段であり、道具です。セミナーなどでも、「自分らしい人生を実現する“暮らしの道具”がお金です」とお話ししています。自分の「幸せ」「やりたいこと」を意識して、そのためにお金を使えることが定年後に大切なことではないでしょうか。

「お金」は「道具」である以上、「機能」があります。

 セミナーなどでお話しする際、お金の機能を六つに分けて説明します。六つとは、「稼ぐ」「使う」「ためる」「増やす」「備える」「納める」です。

 社会に出たばかりの20代でしたら、「稼ぐ」や「使う」に関心があるでしょう。「入る(稼ぐ)」「出る(使う)」というのがお金の動きの基本です。子どもたちのおこづかいでも予算が限られているなかで上手に「使う」、つまり予算制約のなかで、満足を最大化するのが基本です。

 ただ、お金の機能や役割はそれだけではありません。「ためる」ことで、大きな買い物ができますし、病気やケガなどの不測の事態の助けになります。貯蓄は、「自分が納得できる人生を送る」ために大切なことです。

 そして、社会に出て税金を「納める」ようになると、自分が納めた税金が、社会のどこで、どのような使われ方をしているのかに関心をもってほしいものです。また、税が戻ってくるという仕組みを知っているかどうかで家計に差が出ます。

 一方で定年を控えた方々は、「備える」「増やす」に興味をもたれるのではないでしょうか。年金や医療制度などの「備える」仕組みを理解し、知識があると、自分の人生のリスクを減らせますし安心感も得られます。

 また、お金は、株式投資や投資信託などによって「増やす」こともできます。現在、定年後の人生は長くなっています。賢く「増やす」が、ますます必要となってくる時代といえます。

 このように、お金の機能を六つに分けてそれぞれの知識を身につけると、お金との付き合い方が学びやすくなるでしょう。

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まず10年の長期でライフプランを立ててみよう