ただし、副作用として口内炎や口腔内の腫れ、喉のかゆみなどがみられることがあります。そのため、定期的な受診が必要です。また、稀にではありますが、急激な激しいアレルギー反応が生じることも。舌下免疫療法を開始しはじめて1ヶ月ほど、そしてスギ花粉が飛散しているシーズンは注意が必要です。

「スギ花粉の症状が楽になるなら、舌下免疫療法を今すぐやってみたい」と思った方がいらっしゃるかもしれません。

 残念ながら、スギ花粉のシーズンが迫ってきているこのタイミングでは、舌下免疫療法を開始することができません。12月から6月ごろは、地域によって飛散量に違いはあれどもスギ花粉が飛んでいる時期であるために、アレルゲンである花粉に対して反応が過剰になっており、舌下免疫療法に使用する薬に対しても、体内で過剰反応がおき、副作用が生じやすくなってしまうからです。

 こういった理由から舌下免疫療法を始めるならば、8月から9月がベスト。今シーズンには間に合いませんが、来春に向けて対策したいという方は、夏ごろに舌下免疫療法を行なっている病院で相談してみてくださいね。

 最後に。外来診療をしていると、花粉が飛び始めたというニュースが流れ、花粉症の症状がで始めた頃に、「今年も花粉の症状が出始めました……」と受診なさる方が多いように感じます。

 実は、花粉症対策としては、花粉が本格的に飛散し始める2週間ほど前から抗アレルギー薬を内服し始める初期治療が有効だと言われています。ですから、花粉が飛び始めたというニュースが出始めた頃には薬を飲み始められるといい、ということになります。ぜひ参考にしてくださいね。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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