今までいくら体調が悪くても、家族にこんなことを言われたことはありませんでした。45歳、ただでさえ肌が衰えているところに体調不良が重なったため、もはや娘にも“別人”と認識されるくらい顔色が悪くなるんだ! これが年を取るということなのね、と実感。ある意味、新しい発見でした。

 そしてある作家さんに言われた言葉を思い出したのです。「今、美魔女と言われるような自分の顔に自信のある人たちが“すっぴんでごめんなさい”なんてSNSに素顔の写真上げているけれど、あんなの素人がマネしちゃダメよ。彼女たちはいろんな“施し”をしたすっぴんなんだから。私たち素人が真に受けてすっぴんなんて披露したら人様にご迷惑をかけるだけですよ」

 まさにその通りだなと笑ってしまいました。

 45も過ぎれば、若い頃は自然とあった頬や耳たぶの赤みがなくなり、唇からも色が消えます。そのうえ体調が悪い日などくすみが前面に出てしまい、娘にすら「別人」と言われてしまうのです!

 私もつい最近まで、近所への買い物など気にせずドすっぴんで出かけていましたが、娘の発言以降、まさに“人様へのご迷惑”になると思い、最低限の粗隠しと赤みを差す化粧はするようになりました。

 そして、目。

 暗くなるのが早い今時分など16時を過ぎると、もう細かい字が読みにくくてたまらないのです。「8」なのか「6」なのか区別がつかない。あの老眼鏡のCMでやっていたシーンを今、そのまま再演しているような有様です。

 さらには梅雨の時期の湿気や気圧の変動、夏は暑さにやられる度合いも、45歳を境にキツく感じるようになってきました。

■年を経るごとに“ラクさ”と“心地よさ”を優先

 45歳というのは、このように“老い”が少しずつ表面化し始める年齢なのでしょう。今までとは明らかに“何か”が違ってきているのを、私も実感しています。気力は意外とあるのです。でも体力は30代の頃に比べると明らかに落ちてきていて、「しんどい」と思える場面が増えています。だからこそ45を境にこうした日々の「しんどい」を取り除くようにしています。
 ワイヤーブラを卒業する、ヒールのある靴を無理して履かない、トイレのときに面倒なベルトはしない、体にフィットする服ではなくゆるいデザインの服を着る……etc.

 いつの頃からでしょうか。“若く見えたい”“いつまでも女を忘れずにいたい”、そんな言葉を頻繁に目にするようになりました。

 いつまでも若々しくいることはいいことです。でも“若作り”は見ていて痛いですし、やっている自分もいつか必ずつらくなると思うのです。加齢に対して“意識高く抗戦すること”も大切かもしれませんが、今は少し行き過ぎている気がするのは私だけでしょうか。

 自分の年齢を受け入れ、“ラク”さと“心地よさ”を見つけながら老いに寄り添った新しい生き方をする……その方がずっとストレスフリーで、心地よくこの先も年を重ねていけると思うのです。(文/スローマリッジ取材班・児玉響子)