自分が何をしているのか、どんなひどいことをしているのか、精神の未熟さと想像力の欠如と自分を守ることに精一杯で気付いてない場合です。

 この時も、息子さんのいじめをとめることが、親の仕事だと思います。若く柔軟な魂を汚してはいけないのです。

 それ以外の時は、奥さんの意見も正しいと思います。

 いじめに対する闘いは、学校の「ことなかれ主義」「隠蔽主義」「無責任主義」に阻まれて、本当に苦しいものになります。

 学校と教育委員会は、自殺者が出た後、デフォルトのように「いじめはなかった」「いじめは認められなかった」と発表します。それをくつがえすのは、自殺した生徒の親御さんの粘り強い闘いしかないのです。

 学校にいじめの問題を相談に行っても、担任が「◯◯さんをいじめているのは誰ですか?」などとノンキにクラス会で聞いたり、紙を配って「あなたの目撃したいじめを書いて下さい。名前は書かなくていいです」と、なんの解決にもならないことを提案したりします。子供達は、筆跡で名前がバレると予想し、それで呼び出されたらチクったのは自分だと思われて、またいじめられると怯えて「何も見ていません」と書くのです。

 ですから、息子さんがそれほど苦しんでなくて、そしていじめの実態も「そこまでひどくないか」と思えたら、奥さんの言うようにスルーする方法も、悲しいですがあるとは思っています。

 それは、繰り返しますが、「いじめと闘う道」は、本当に苦しくて困難だからです。奥さんが言うように、息子さん一人がI君をかばい、がんばることは、いじめをなくすことではなくて、息子さんが次の標的になることを意味するのです。

 そして、これも繰り返しますが、息子さんが苦しんでいたり、親として息子の魂を汚したくないと思ったら、どんなに困難でも、闘う道を歩くべきだと僕は思っています。

 ハチローさん。そう決心した場合、息子さんとの関係が友好なら、まず、クラスの雰囲気を聞いて下さい。

 クラスメイトは、I君へのいじめを知っているのか。どう反応しているのか。クラスには他にいじめられている生徒はいるのか。それともI君だけなのか。

 学校がいじめを隠せるか、隠せない規模なのかの確認です。

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