五能線の魅力は、なんといっても線路の間近に迫る日本海だろう。秋田県の東八森(ひがしはちもり)から青森県の鯵ケ沢(あじがさわ)まで、およそ105キロメートルに及ぶ多くの区間で日本海を望み、ときに白波を受けるほどの臨場感を伴う。線路は白神山地の西麓に沿う細道に敷設され、鯵ケ沢付近から弘前にかけては、天候次第では岩木山が車窓を飾る。

 列車設備は編成によって異なるが、リクライニングシートを中心に4両中2号車にボックス席を用意。編成端には展望スペースが設けられている。車内では津軽三味線の演奏(1~3号の鯵ケ沢~五所川原(ごしょがわら)間)などの催しが開かれるほか、各地停車駅で用意される体験メニューやご当地グルメなどもこの列車の楽しみだ。

 冬期は2ないし1.5往復での運行で、運転日・列車ごとの充当編成はJR東日本秋田支社の公式サイトで案内されている。今冬の「青春18きっぷ」期間のうち、12月23~26日と1月6~9日は全列車が運休となる。乗車には別途に指定券(大人530円/子ども260円)が必要。

■1月4日限定! 「SLぐんま よこかわ」の旅

 最後に紹介したいのは、蒸気機関車の迫力が堪能できる「SLぐんま よこかわ」。

 名蒸機として名高いC61 20(1949年製造)の2機が12系客車を牽引して高崎と横川との間を結ぶ(ただし、高崎発は電気機関車が牽引)。1時間3分のトリップだが、蒸機ならではの乗り心地を味わえる貴重な機会となることだろう。

 この冬の「青春18きっぷ」で乗車可能なのは1月4日のみ。すでに指定券(大人530円/子ども260円)は発売されているが、満席の場合でもキャンセルぶんを狙ってみたい。

 首都圏の蒸機列車ということで、都心からの日帰りもじゅうぶん可能。ぜひ、真冬の蒸気機関車にチャレンジしてみては?

【著者プロフィール】
植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。