3位:マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)

 ブラジルで見せていたプレースタイル的にもそれなりの活躍は予想できたが、シーズン開幕戦からいきなり光り輝き、攻撃の中心を担ったのは衝撃的だった。スペースを見つけて使う、時にはスペースを作って味方に使わせるポジショニング、動き出しが抜群で、途中からかなり厳しいマークにあってもパフォーマンスが大きく落ちることはなかった。また、仲川輝人はもちろん前半戦のチームを引っ張ったエジガル・ジュニオ、三好康児(シーズン途中にアントワープに移籍)、夏に加入したマテウス、エリキとも良好な関係を築き、“クリリン”の愛称にちなんだゴールパフォーマンスでもチームを盛り上げた。

2位:ドウグラス(清水エスパルス)

 3年ぶりにJリーグに復帰した昨年は後半戦の15試合で11得点を記録したが、開幕前に不整脈が見つかり一度ブラジルに帰国。復帰後もしばらくはベストコンディションからほど遠かったが、徐々に本来の決定力を取り戻して、気が付けば絶対的なエースに戻っていた。昨年から北川航也(シーズン途中にラピド・ウィーンに移籍)との2トップが清水の看板となったが、相棒の移籍でマークが厳しくなる中でもゴール前の決定力は落ちず、第12節の大分戦で復帰後初ゴールを挙げてから調子を上げた。今季、最も無得点が続いたのは第30節の静岡ダービーから4試合。最終節のサガン鳥栖戦ではドリブルからの美しいゴールを決めて勝利を引き寄せ、チームをJ1残留に導いた。

1位:チアゴ・マルチンス(横浜F・マリノス)

 1対1の強さに加えてハイラインの裏を目がけた攻撃に対しても、鋭い反転と初速で先回りしてインターセプトやクリアをしてしまう。『鉄壁』『無双』とも言うべき存在であり、センターバックの相棒である日本代表の畠中槙之輔も「あいつに比べたら、まだまだ足りない」と言うほどだ。Jリーグでは無敵に近く、コンディションが崩れない限りその状態は変わらなそうだが、来年はACLでの挑戦が待っているので、“死の組”で相手の強力なアタッカーに対して、どれだけ存在感を発揮できるか楽しみだ。(文・河治良幸)

※著者注(シーズンを通した安定感よりインパクトを重視した選考。ディエゴ・オリヴェイラは毎年ハイレベルで安定しているため殿堂入りで対象外とした)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の"天才能"」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行