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認知症の親の施設入所を考えるタイミングはいつ? 精神科医が考える二つの指標

連載「医療が届かずに悩んでいる方へ 一精神科医の切なる想い」

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大石賢吾dot.#ヘルス#病気#病院

 一方で、認知症が進行し、自宅での生活が困難になってくると、どこかのタイミングで施設型サービスを利用する必要性と対峙することがあります。この“施設への入所”は、Aさんだけでなく、患者さんのことを思い健康を願うご家族の皆さまにとっても、特に気をもまれる難しいテーマだと思います。

 今回は、まず、Aさんからのご相談について回答させていただき、それに併せて、介護において「生活の中心を自宅から施設へ移す」という選択肢をどう捉えるべきなのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 まず、(あくまで私見ですが)医療的な見方からすると、施設への入所を積極的に協議するかどうかは、患者を保護する必要性の度合いに影響されることが考えられます。ここでいう保護とは、その手段を用いない場合、ご本人のみでは安全で健康的な生活を行えないというような状況を想定しています。

 比較的理解が得やすそうな例として、“火の不始末”や、雨、深夜など危険な状況でも起こる“一人歩き”を考えてみましょう。いずれも、火事の危険性や、転倒転落・交通事故などのご本人の身におよびうるリスクがあります。特に、前者では住まいが集合住宅の場合、周囲を巻き込んでしまったり、後者では道路に入り込んで事故を誘発してしまったり、結果として患者ご本人が加害者となってしまう可能性も否定できません。

 ほかにも、食べ物以外でものみ込んでしまう異食行動といったような、生命の危険につながりうる突発的な行動がある場合は、家族と同居での在宅介護であっても、一人で過ごす時間の存在があると危険な状況に陥ってしまうおそれも否定できないため、生活状況について慎重に評価するようにしています。

 もちろん、これらの危険行動が疑われたら絶対に在宅で対応できないというわけではなく、火の不始末であれば(完全ではないのですが)オール電化などハード面での工夫を取り入れたり、そのほかでも家族の協力や訪問・通所サービス等で常時の安全確保策を講じたりと、さまざまな対策を組み合わせることで在宅介護を継続することも現実的な選択肢になりうるかと思います。


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